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2つの「日本のいちばん長い日」、編年体と紀伝体 [映画・テレビ]

昨日は、ありがたいことに、曇天で過ごしやすい天候。
どーしよーか迷ってた「日本のいちばん長い日」(2015、松竹、原田監督)を封切り日に観に行くことにした。
近所のシネコンではかかってなかったんで(松竹はしょーがねぇーなぁ)、丸の内ピカデリーに。
帰りに遅い昼飯で坂東太郎(養殖鰻の最高峰らしい)を喰らおうと思ったが、営業時間が上手く合わずに断念。
デリーにてランチB(サラダ、ラッサム、タンドリーチキン、カレー(ベジタブルを選択)、ドリンク(マンゴーラッシーを選択))にしたが、1人客に嫌そうな顔をするところを除けば、極めて高CP。

さて、原田版「ーいちばん長い日」だが、どーしても岡本喜八監督版(1967、東宝)と比べてしまうのは仕方のないところ。
岡本版は時間軸の進み方がほぼリニアで、何に時間がかかり、何がアッサリ片付いたのかが現実の時間軸の進み方と相似なんだろーなって印象。
いわば編年体だ。
これに対し、原田版は阿南陸相を主人公とした紀伝体。
阿南については自宅での家族との会話、官邸での安井国務大臣(予備役の将官で阿南の陸士同期)とのやりとりなど、岡本版で描かれなかった描写を加えて阿南の人物像を膨らませようとしている。
また、「ーいちばん長い日」を彩るエピソードも、取捨選択やら所謂「ハナシを盛ってる」演出を施して、物語性を高めよーとしている。

フツーに考えたら、平板な編年体とメリハリの効いた紀伝体とゆー対比になるはず。
しかし、実際に観てみると、圧倒的にドラマティックなのは編年体的な岡本版。
どーしてこーなった?
ま、役者の保有熱量の違いなのかねぇ?
それとも監督の熱量の引き出し方の違いなのか?

ひとつ気になったところは、阿南陸相の立ち位置。
以前から、阿南の本音は徹底抗戦派で、聖断と本音の間で呻吟していたとする説と、省部(陸軍省と参謀本部)にはびこる不満をうまく抑えつつも、はなっから終戦推進のためにうごいていた腹芸説があった。
岡本版には明示的な描写はないが、徹底抗戦・呻吟説だったやうに思える。
一方の原田説は、あからさまに腹芸説(前述の安井とのエピソードで明示的に描写)を採用。
だが、どーして腹芸をするに至ったのかが描かれずにいるので、欲求不満。
原田なら、阿南の死の直前の「米内(海相)を斬れ」発言になにがしかの解釈を示すのではないかと密かに期待してたのだが、全面的な腹芸説採用がゆえに無視されてしまっている。

ま、いろいろ文句は書いたが、それなりに愉しめた。
ただし、原作本又は岡本版を熟知していないと、原田版での登場人物の言動とか理解しにくかったんじゃないのかなとは思う。


昨日の読書
「新編日本中国戦争 怒濤の世紀 第一部中国異変」読了。
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